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 うちの高校の文化祭には一風変わった特別参加枠がある。  その年のテーマに沿っていれば公序良俗に反しないかぎりなにをやってもオッケーというユルさだが、失敗すれば笑い者、成功すれば人気者になるというデッドオアアライブ感満載のイベント。  そんな陽キャがノリでエントリーするようなのに俺たちが参戦することになったのは、本当に『なんとなく』だった。  なんとなく居場所がなくて、なんとなく昼休みに時間を潰せるとこを探していたとき、なんとなく顔を合わせたメンツが、なんとなく話すようになって、なんとなく日々を送っていたなか、なんとなく誰かが発した冗談。 「このメンバーならイケるかもしれない」  それは思いのほか俺に刺さった。誰の記憶にも残らないであろう陰キャ五人衆。輝かしい思い出ひとつなく、あと数か月で卒業を迎えるのが異様に虚しくなった。  俺だけじゃ無理だ。けれども、こいつらがいれば……! 「全員三年。受験勉強が本格的に始まれば、周りはそれどころじゃなくなる。笑い者になる期間も実質二か月そこらだろうな」  なんとなく、こぼした言葉。ここから俺たちの『下克上ワンチャン計画』が動きだした。
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