ナイショの恋愛

8/34
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
* * * ガッツポーズをとる奴、安堵する奴、落ち込む奴、顔色ひとつ変えない奴。 生徒各々で様々な表情が見られた中間テスト。 その答案用紙の返却や順位の発表が済まされると、校内の雰囲気は自然と次の学校行事の文化祭へと移っていった。 弁当タイムを終えて昼休みもわずか。 その話題は、小倉さんが所属する女子グループも例外ではなく。 「クラスの出し物どうする?」 一人がテーマを掲げると、グループ内はあっという間に黄色い声で賑わった。 「お化け屋敷……だと演劇部と被っちゃうか」 「ちゃんと調べ学習とも関連してないといけないしね」 「じゃあ、カフェとかは? 地元の野菜とかフルーツとか名産品調べて、それ使ったメニューにしたりとか……どうかな?」 小倉さんが提案すると「いいじゃんそれ!」と同意の声が聞こえた。 (カフェ店員な小倉さんか……うん……うん、いいじゃんそれ!) 徹太が担任に呼び出され、その間教室で暇をもて余す俺。 聞こえてきた小倉さんのグループの会話に、内心こっそり加わってみる。 俺の脳内でみるみる映像化されたのは、真っ白なフリルのエプロンを纏ったメイド喫茶風の小倉さん。 エプロンの端をつまみ、くるりと回ってこちらに向かって微笑んでいる。 シンプルなギャルソンタイプもいいけど、その場合シャツの上にはタイとか欲しいよな。 でもどっちにしても可愛いから似合う! 似合いすぎるっ!
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!