ナイショの恋愛

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(って……何妄想してんだ俺……) 人の会話盗み聞きして、心の中とはいえ勝手に加わって、勝手にメイド姿想像して。 俯瞰で考えたらすっげー気持ち悪いな俺。 「これで文化祭に専念できるぜ!」 妄想と自己嫌悪のはざまで揺れる俺の思考を、教室に戻って来た徹太の声が遮断した。 徹太は何故か片腕を腰に当てての威張ったポーズで、ようやく合格点に達したらしい追試の答案用紙を掲げた。 「おつかれ。徹太もやっと部活にも出られるな」 「おうよ。でも今回はまじキツかった。 微分積分とか全然訳わかんねぇし、グラウンド30周やる方のが余裕でマシだわ」 グラウンド30周も相当だろと苦く笑うと、徹太が「ところで」と切り出した。 「東藤は係どれにするんだ?」 この後の五時間目のロングホームルームの議題にもなっている、文化祭の係決めについて尋ねているのだと気付く。 『総務』『広報』『会計』『放送』『設置』 所属する部活に関わらず、どの生徒もこれらの係のいずれかに携わらなければならない決まりだ。 「比較的楽なのが放送かもな。 当日放送室からアナウンスやら曲やら流す感じだろうし。 設置は体育館のステージ作りがメインだから力仕事って感じだな」 「俺は会計以外なら何に当たってもいい」 とにかく計算は嫌なんだ、と訴える徹太はよっぽどの数字アレルギーらしい。
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