1680人が本棚に入れています
本棚に追加
/450ページ
「・・・・・・意地っ張り」
「え?」
「柚葉の意地っ張り!!」
今にも泣き出しそうな萌を見て、瞬きを繰り返す。
だけど、一向にその言葉の意味が分からなくて首を傾げた。
「本当は九州なんて行きたくないクセにっ」
「――」
「本当は泣きたいくせに、辛いくせに、悲しいくせにっ」
「萌・・・・・・」
「あっちで辛くなったら誰が柚葉を支えるの? 誰が一緒に泣いてくれるの? あっちに行ったら柚葉は一人なんだよ?」
萌が腰を上げた瞬間、テーブルの上に乗っていたカップがガシャンと音を立てる。
それでも、そんな事気にする事なく萌は私に詰め寄った。
「本当に一生会わないつもりなの?」
「ねぇ、萌」
「それで、柚葉は壊れてしまわないの?」
「ねぇ、萌。どうして萌が泣きそうなの?」
「柚葉が泣かないからでしょ!!」
首を傾げて問いかけた私に、萌は大きな声でそう言った。
周りの視線なんて全く気にもしないで。
最初のコメントを投稿しよう!