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「僕達の友情なんてこのようなものだったのですね」
僕が恨めしそうに告げると、そこでリルが、
「でも、リゼルがそう言ったって、レオナはリゼルの手助けを止めるつもりは全くないんでしょう? もっと強くなって魔法使いの相棒になるんでしょう? それを諦めてはいないんでしょう?」
「うん」
「だったらリゼルの事は無視して一緒に居ればいいのでは」
「うん……そうだね」
リルに言われて確かにその通りだと僕は思う。でも、そこでミミが、
「けれどリゼルの気持ちは分かるよ。レオナにはあまり怪我をして欲しくないし」
「心配されるのは嬉しけれど、僕だっていつまでも昔のままでもないし子供でもないんだ。魔法の才能だってこの中では攻撃系は特に強いし?」
「……そういえば前に魔法に失敗して、その余波で怪我をしたよね。僕が治したけれど」
「う、そ、それは」
「でも、自分や他の誰かを、レオナの心が傷つかない程度に、守れる力はあった方がいいかもね。……僕にとっても」
「そうなんだ。心配してくれているんだ」
「うん、心配しているのもあるけれど、これからもずっと一緒にこうしていられたらいいなって思うよ」
ミミの今の言葉には、含みがあった気がする。
ミミは時々、妙に思う所があるけれどその言葉を飲み込むような言葉を言う。
言いたいけれど言えない何かがミミの中であるようだった。そこでミロが、
「それでレオナ君、そろそろそこにいる俺の恋人候補君を返してもらっていいかな」
「僕の方も、リルとお話ししたいけれど構わないかな?」
などとミロとエストが言う。
だが僕がこんなに悲しんでいるというのに、なんて薄情な先輩たちだと思った僕は、そちらに向かおうか迷っているような、リルとミミの手首をつかんだ。
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