四角い部屋

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 これは、私が大学生だった時の話です。  私には、特に仲の良かった友人が三人いました。同じ高校出身の女の子であるケイコちゃんと、大学生になってから知り合った男の子二人、タケシ君とユウジ君です。  ケイコちゃんとタケシ君は付き合っていて、ユウジ君はタケシ君の親友でした。その関係で、もともとケイコちゃんと一緒にいることの多かった私も、タケシ君やユウジ君と仲良くなったのです。  私たちは同学年ということもあって、普段からよく四人で一緒に行動していました。大学構内ではもちろんのこと、どこかへ遊びに行くという時も、大抵はこの四人で集まります。私たちが通っていたのは、ごく平凡な文系の大学だったので、それなりに時間の余裕もあり、同級生というよりも良い遊び仲間という感じでした。三人のおかげもあって、私は毎日楽しい大学生活を送れていたのです。  そんなある日のことでした。それは、大学三年生への進級を目前に控えた、三月の終わりの頃の話です。  新年度を機に、ユウジ君が一人暮らしを始めることになりました。彼はずっと実家での生活だったので、初めての一人暮らしです。大学のすぐ近くに、とても安いアパートが見つかったと喜んでいました。  そして、何故かそんなユウジ君以上に張り切っていたのが、タケシ君です。タケシ君は引っ越し業者でのアルバイト経験があり、運転免許も持っていたので、自分に任せろと胸を張っていました。ユウジ君にしても、なるべく安く済ませたいというのがあって、それはありがたい話だったようです。引っ越しの作業は業者に頼まず、自分たちでやることになりました。そこで私とケイコちゃんも、できる範囲で手伝おうという話になって、結局いつも通り四人で集まることになったのです。
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