星におかしなまじないを

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 母が去って静かになった台所で、頭を切り替えようとササラは軽く頬を叩いてから再び調理を始めた。  出来上がったサンドイッチを籠に入れると、ササラは裏口からこっそりと家を出た。母に見つかれば微笑まれるだろうし、父に見つかれば何かあるかもしれない。  幸い誰にも見つかることなくそっと出てこれたのでよかったが、星見の塔まで来てからが問題だった。  つい数日前に成人しているので星見の塔の傍にいる所を誰かに見られても問題はないが、まだ成人の儀を終えたわけではない。出来れば見つからない方がよかった。  その上、いつもと用事が全く違う。招き入れてくれるアルグルが起きているのかどうかもわからない。  いつもと同じ様に空を飛べば、昼間な分もあり目立つ。塔の入口からが正しいだろう。そう思って覗きこむと、ちょうど塔から出てくる人影が見えた。  顔がみえなくても、夜の様な落ち着いた黒髪としゃんと伸ばされた背筋には見覚えがある。リゲルだ。  彼にリゲルに見つかってはいけないと急いで近くに隠れると、リゲルとアルグルの声がこちらまで届いた。 「特に変わりはなさそうだな」 「何も無いよ。あぁ、アークトゥルスにもたまには顔出すようにって、よろしく言っておいて」     
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