ふたりのハナへ贈る歌

59/59
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
** 手紙は、ものの数分で燃え尽きた。 私は火の後始末をしてから、次の目的のために動いた。ハナの墓参りだ。 手紙を燃やしたところから数メートル離れたそこに、ハナは眠っている。 私は出会ったときを思い出しながら、ハナのお墓にたんぽぽやらチューリップやらを供えた。 喜んでくれているかな? 私は空を見上げた。 ハナが旅立ってから数か月。 日差しはすっかり春になっている。 命が芽吹く春。 私は庭で駆け回るハナ思い浮かべながら、 今日も鼻歌を歌った。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!