『小さな鳥居』

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 罰って、本当に当たるものなのかもしれません。  街中でもたまに、道とか建物の端っこに、小さな鳥居を見かける事ってありませんか? 三十センチくらいの。  あれって、日本人の信仰心とか、罰が当たるかもしれないって心理を利用して、人間の立ち小便予防や、マナーを守らない飼い主の犬のマーキング予防のためとかに設置されてるんですって。  あと、ゴミの不法投棄を防ぐために。  だから、本物の鳥居とはあえて構造の比率とかが違ってて、地元の神社さんとかが用意した祈りの込められた鳥居ってことは、ほとんど無いみたいなんですけど。  でも元々日本の神様って、どこにでも宿る自然霊みたいなもので、鳥居はそれを思い出させるためのツールでしかないんじゃないかなって、私は思うんです。  鳥居があろうが無かろうが、神様は見てますよね、きっと。  で、うちの近所の道路にも、あの小さい鳥居がたくさん並んでる所があるんですよ。  鳥居が立ったのはけっこう最近で、田舎によくある、田んぼ沿いの狭い道路なんですけど。  たまに農業機材とかが置いてある空き地も道路に面してるんですけど、基本的には、乗用車二台がやっと通り抜けできるくらいの幅で。  センターラインも引いてないような、どこにでもある古いアスファルトの田舎の道です。  山を避けるみたいにくねくねしてるのに、ほとんどはガードレールも無くて、なのに道路下の田んぼまでの段差は二メートルくらいあって。  歩行者用の白いラインなんか道端の草や土でほとんど埋まっちゃってて、子供の頃、学校に通う時も歩くのがけっこう怖かったです。  そんな悪条件なのに、高速道路とか幹線道路の間を繋いでる道でもあるので、通勤時間帯の交通量はけっこうあって、大きなダンプカーとかも頻繁に通ったりして。  でも逆にそれでみんな気を付けるせいか、不思議と事故の話はほとんど無かったんですけど。  問題は、その道にずっとゴミを捨て続ける人がいた事なんです。
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