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『最上先生へ
君がこの手紙を読んでいるということは、きっと全てが終わったのだろう。
そして私はもう生きていない。
本来なら直接詫びるべきだったが、どうか手紙での謝罪という形で許してほしい。
最上先生には、大変な仕事を遺してしまった。どれ程の時間を奪ってしまっただろうか。君に、申し訳ないことをしてしまった。
城北大学の古典籍を守ってくれてありがとう。私は、研究者の君を誇りに思う。
遠い昔の時代から受け継いできた日本の叡智を、これからも未来に繋いでほしい。
そしてこれは、最上先生じゃなく、航くんへの言葉。
君が安達さんに特別な思いを寄せていることは、薄々気づいていた。
特別な思いを抱いていたことに気付いていたのに、その君に安達さんを告発させるという、残酷な役目を負わせてしまった。
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