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先を行く山南さんの背中を、俺はじっと見つめて居る。 その姿に、目を凝らす。 祈りながら、耳を澄ませる。 ……でも、何も聞こえない。 それで、俺は、分かってしまう。 俺は今はまだ、真相には手が届かない場所に居るのだと。 ……だから、今はこれ以上、何も言えない。 その後。 主に、捜査員たちが町のあちこちから見つけてきた通り魔の姿と近い画像、それを男に確認させる方法で、通り魔の行動の絞りこみを行った。 必死の聞き込みと警備巡回は勿論、怠らずに行われた。 決して解き放たれたままではいけない殺人犯。その捜索に、署内の全員が執念を燃やし、やがて。 比較的姿を現すことが多いと黙された地点。その付近の公園で。夕暮れ過ぎ頃、ベンチに座る男性を職務質問した警官により──町を震撼させた恐るべき通り魔は、逮捕されたのだった。
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