ヒナノクチバシ

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「こんなオンボロの銭湯に どこから迷い込んだんだか、 可愛いもんだねぇ」 「オンボロで悪かったねぇ! 嫌なら入んなくったって いいんだよっ?」 「あらま、 こんばんはトラコさん。 何か聞こえたかしらねぇ」 掃除道具を片手にやってきた 主のトラコさんは、 大きなその目でぎょろりと ニシのオバサンを睨んだけれど オバサンはとぼけた様子で さっさと行ってしまい、 トラコさんもまたドスドスと 床が抜ける勢いで 掃除の続きに戻ってしまった。
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