無邪気なプレゼント

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 会社を定時に出社した後、向かう場所は会社と自宅の間にある商業施設。これが最近の日課になっていた。  世間はクリスマス一色。クリスマスの色となると、赤と緑の反対色である二色が半々の割合で街を彩るが、一色というのは色彩のことではない。街の雰囲気、飾り付け、流れてくる音楽まで、全てがクリスマスに統一されているということだ。  あと一週間もすれば今年も終わるというのに、最後の最後まで盛り上がろうとする根性は、流石と賞賛するべきだろう。  華やかな電飾に飾られた大きなモミの木も、数日後には門松に変わる。変化の激しい国だと、改めて溜息が出た。  早足で商業施設のクリスマス商戦のど真ん中を歩いていると、ふと、女の子に人気のオモチャのアクセサリーが目に留まる。六歳になる、娘の友紀(ゆき)が欲しがっていたことを思い出す。早々に夕飯の買い物を済ませ、家路につきたかったが、グッと堪えて子供用のアクセサリーを手に取りレジへと並んだ。
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