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いやいや!確かに、課長はタイプじゃないし、苦手な人だけど...、課長だって女の人を毛嫌いしてるし、何よりも、私を嫌っているじゃない。前から薄々思ってたけど、同じ部署の他の女性社員よりも、更に一線引かれているような態度とか、ワントーン下がってる声とか...、この間の資料室の時とか、課長の方が私を嫌っているじゃない。
一瞬、過ぎった考えを、慌てて否定した。そんな理由ない。――
けれど兄達は、課長と結婚することを、やたらと推しているし、もう、私と結婚するのは課長しか認めない。っていう流れになっているし。
むしろ、早く結婚しろ。という流れになっている気が...。――
「―お兄ちゃん。やっぱり結婚とか、考えらんないし、課長だからとかじゃなくて、こんな風に結婚するの嫌なんだけど。
絶対に結婚しなきゃ駄目なの?」
「駄目だな。無理。日にちも動かせない。ていうか、動かさす気はない。
この週末までに、心の整理じゃなくて、覚悟を決めな。」
兄の言葉を聞いて、やっぱりと思った。何となく、ダメ元で言ってみたものの、こう言われると予想していただけに、ダメージは少ないものの、それでも、ショックは隠しきれなかった。―――
「―もう、この話は終わり。ご飯冷めたじゃん。
もう、今日は、引越しの準備どころじゃないから、早く食べ終えて、寝る支度して寝るぞ。」
「えっ!?泊まるの!?」
しょんぼりと肩を落としていた私は、兄の言葉に今度は、驚いて声を上げた。
けれど、兄は当然だろ。と言うように、私を見て、冷めたご飯を口に運んでいた。―
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