告白

1/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ

告白

 12月も半ばに入り、いよいよ本格的に寒さも増して来た。  ビリヤードのプロテストに受かって半年以上経つが、なかなか思うような結果が出ない。  先日行われた試合でも、無様に3回戦で負けてきた。  周りはプロばかりで、みんな必死に戦ってるのだから当然と言えば当然だ。  だが、そんな現状に満足出来る訳がなく、もうすぐ年に一度の日本一決定戦…ジャパンオープンがあるし…と、今日も雇われている店でムキになって練習していたのだが… 『典孝君。今日、バイト終わったらちょっと良い?』  同じ店で働く白石千尋さんが、何やら思い詰めた表情で、そう話し掛けて来た。  主に店の受付をやっている方で、美人で愛嬌も良いと、常連さん達からも評判が良い1つ年上の女性だ。  千尋さんには、俺も妹の京子も世話になっているし、当然のように好意は持っているので、千尋さんから誘われて断る理由など無い。 『良いけど…どしたの?千尋さん、何か暗いけど…』  いつも明るい千尋さんには珍しく浮かない表情だ。 『…うん。ここじゃちょっと…バイト終わったら話すから…』  人前では話し辛い内容なのか…千尋さんは俯き加減で、その小さな唇を開いた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!