最終話 空に贈る手紙~後編~

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愛する美雪へ 二十歳のお誕生日おめでとう。     あなたが振袖に手を通すのを想像して、それはそれは、とても綺麗な姿だろうなと思います。     そちらに行くまで、お父さんと待っていてください。 ここはとても優しくて、静かで、平和で、あたたかい場所なの。 優しいそよ風に包まれながら、日々を過ごしています。 巡る季節のなか、澄んだ空を見てはふたりを思い出してばかり。 美雪や明宏さんとここで過ごせたら、どれだけ幸せか。考え出すと切りがないけれど・・・。 沢山のお土産話をもって、ふたりの元に帰りますから。    あの日、出来なかったクッキーづくり。一緒にやろうね。    あれから上手に作れるようになったのよ。 ちょうど雪が降ってきました。 田舎の静かな夜に降る雪はとても綺麗です。    また会える日を楽しみにしています。                                お母さんより
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