Chapter1『思念素の世界の少年達』

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「そんで、ロボットスーツ制作プロジェクトはどうよ?神谷博士」 「正直雲行きが良くないのは事実だ。最も重要なものが一向に完成する気配がなくてな。マシン全体のオペレーションを行うインターフェイスを作るのは、やはり一筋縄ではいかなくてな」 「オペレーションか……それこそ今あるやつで代替は効かないのか?」 「効かない。それ以外にもマウントディスプレイとジェットパックや各種センサー……エネルギー弾は光学兵器で再現できるが、威力はどうしたものか」  浪川涼介と神谷健吾は、二人とも技術科に所属している生徒である。エンジニアを目指している神谷はともかく、何故浪川が実技科や普通科ではなく技術科を選んだのか、神谷は不思議でならなかった。  浪川は理系寄りといっても、化学や工学に特別興味を抱いていたわけではなかった。基本的に細かい事が性に合わない性格なのは彼の周辺人物にとって既知の事実だ。  尤も、高校に入ってから急に興味を持ち始めた、というタイプかもしれないが。  浪川は、窓の外の自分たちの街を見下ろしながらボヤき始めた。     
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