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って、そうじゃない
俺はいったい何をしているんだと思った時には、俺はあいつを部屋に放り出して後ろ手で襖を閉めていた
でも薄暗い部屋の中、いつもの余裕の表情を浮かべているあいつの姿を見た瞬間、何かが込み上げてきた
困らせたい・・・
泣かせたい・・・と
その余裕そうな面を歪ませてやりたい・・・と
ふらふらと近付き、上体を倒してあいつの細い肩や頬に手を伸ばしかけた瞬間、俺はようやく我に返った
慌てて近くに落ちていた紙を拾うが、顔が熱く心臓の鼓動が早い
顔を見られたくなくて上体を起こして拾った紙に目を走らせるが、その紙越しで不思議そうなあいつと目が合ってしまった
思わずすぐに視線を逸らしたが、赤くなった顔が見られてないか不安でいつものように命令し、すぐに机に向かって歩いていく
しかし座布団に座っている間も、何故か視線があいつに向いてしまい、なかなか書類の仕事が終わらない
いつもだったらすぐに・・・
いや、もっと早く進むのに・・・
気付けばあいつはもう拾い終わった書類を俺の机に置いて部屋から出ていこうとしていた
あいつの後ろ姿を見るとついつい引き止めてしまったが、あいつの応えを聞いてイラッとした
自分でも分からない
でも何故かあいつの応えが気に入らなかった
なんだ
今までこんなことなかったのに・・・
あいつが来てから、俺はいったいどうしちまったんだ
頭の中がぐちゃぐちゃで考えが纏まらないが、とりあえず俺は書類を進めることにした
それなのに・・・
書類を進めている間にも・・・
どうしてもあいつのことを思い浮かべてしまう
あいつのことを考えてしまう
何なんだよ!くそっ!!
歳「・・・っ!」
書類に墨が溢れてしまった。
また・・・やり直しか
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