SS07 続き

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寝返りを打つと頬に光を感じ、眩しくて目を覚ました。 あたたかい布団の中で数回瞬きをする。どうにか瞼を開けると、見慣れた自室のカーテンの隙間から朝陽が差し込んでいた。今日はひさしぶりに天気が良くなるらしい。 立ち上る香ばしい匂いにつられて、ぼんやりと身体を起こす。台所では裕幸がフライパンからベーコンをよそうところだった。 「あ、亮さん、おはよう」 「……おはよう」 寝起きの掠れた声で応えると、少し笑った裕幸が冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。グラスに汲んで枕元まで持ってきてくれる。 「はい、どうぞ」 いつから起き出していたのか、透明なグラスを差し出しにっこりと笑う裕幸はすでに着替えも終わっている。ありがたく礼を言って受け取り、一口飲んだところで昨夜の顛末を思い出して、さっと血の気が引いた。 「ごめん……」 グラスを手に持ったまま立てた両膝の間に顔を埋める。 昨夜は色々あったけれど、最終的にはそれなりに覚悟を決めて自室に招きいれたはずだった。しかし先に湯を使ってあたたまり、裕幸を待ってうとうとしている間に、気がついたら寝てしまったらしい。     
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