偶然と前進

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「それでは千石様、事前に伺っていたご希望をまとめてみましたので、ご確認いただけますか?」 「ええ、お願いします」  千石さんはこくりと頷いた。 「まず一つ目のご希望は、どんな人でも気軽に入ることができる美術館であるということですね」 「そうなんです。芸術なんて敷居が高い、観てもわからないって思っている人達も、思わず覗いてみたくなるような美術館を作りたくて」  きらきらと輝くような瞳で理想の美術館について話す千石さんを見ていると、私も俄然やる気が出てくる。 「それならば建物の外観にもっと工夫を凝らした方がいいんじゃないかって思うんです。従来の形には拘らないで。極端に言えば、見た目が全く美術館ぽくないものとか……」
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