恋煩いは医者じゃなきゃ治せない

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「莉奈?」 「莉奈?」 お母さんとカイさんは、なにを言われたのかわからないのか、顔を見合わせている。 「おまえ一体、なに言ってんだよ?」 冗談を言ってると思っているのか、笑っているカイさんに……とうとう感情が爆発した。 「私はカイさんが好きなの! お母さんがいらないんだったら、私がもらうから!」 一気にまくし立てると急に冷静になって、はっと我に返った。 お母さんもカイさんも、固まってる。 いたたまれなくなって私は、家を飛び出した。 飛び出したもののどこに行っていいのかわからなくて、近所の小さな公園の、ベンチの上で膝を抱えてうずくまる。 あんなことを言うはずじゃなかったのだ。 もう、カイさんと顔を合わせられない。 いっそ、死にたい。 「莉奈!」
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