銀色の男の子

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「ねえ、真帆。見て。あの男の子たちかっこよくない?」 「え?」  くるみが指差す方を見ると、駅のロータリーで男の子が二人、ギターを弾いていた。  一人は短髪の黒髪、もう一人は銀色の髪をしている。  彼らの周りにはそれなりに人が集まっていて、私達と同じ高校生くらいの女の子ばかりだった。 「特に銀色の人! 目が鋭くて綺麗な顔。大学生かなあ」 「違うよ」 「へ?」 「黒髪の人の方は分かんないけど……。銀髪の人は高校生」 「なんで知ってんの? 真帆知り合いなのっ?」  私が高校生だと断定すると、くるみは噛みつかんばかりの勢いで私に詰め寄ってきた。 「違うよ。銀髪の知り合いなんていないし」 「そ、そっか。そうだよね。真帆に男の人の知り合いがいるなんてそんなわけないよね」 くるみはウンウンうなずきながら納得し、「じゃあなんで知ってんの?」と当然の疑問を口にした。  私は、男の人の知り合いがいるわけないと言われたことに少し傷つきながら、「よく見かけるから」と答えた。
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