増長ストロングスタイル

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増長ストロングスタイル

 「ねぇ、いつものトレーニングは終わったんでしょう? そこでそうしているなら、子供たちを風呂にでも入れて来てちょうだいよ」    トントントンと、対面式キッチンの向こうから、妻の小雪が、まな板で何かを刻みながら私に向かって言葉を投げてきた。    「今、いい所なんだよ」  私といえばテレビの前のソファに身体を投げ出している。生中継のテレビに釘付けだった。  湯気にまみれて、忙しそうにしている小雪を他所(よそ)に、プロテインを飲んでいた。  小雪にしてみたら、その態度が気に入らないのだろうが、大の格闘マニアで、年末恒例の格闘技番組を一年の集大成として捉えている私は、リアルタイムで見ることを譲れなかった。否、どうしても譲りたくはなかった。    「最近になってトレーニングしだしたのは、その番組の影響なのね。とにかく子供たちの相手をしてやって、ここに居られると邪魔だし危険なのよ」  小雪は言った。  どう見ても機嫌の悪い顔つきが、私にプレッシャーをかけている。     
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