第三章「大臣と伯爵」

8/8
640人が本棚に入れています
本棚に追加
/1705ページ
それから彼女の面倒を王室で見てやるんだ、彼女の身を守るということは、ペンダントを守ることと同じことだ。大丈夫、彼女はあのペンダントを売ったり失くしたりはしないよ。彼女の身の保護と一緒に国宝も守る、その位の器量を見せてやれ。王家の恥になるぞ」 と説得した。この男は実際、王からの信頼が厚いウイリアム伯爵で、国務大臣と言えど無視できない存在だった。 こうしてアーネットは本物のペンダントを受け取り、すぐさま自分の首にかけて大事そうに自分の胸にしまい込んだ。それを眺めながら、伯爵はこんな少女が真贋を見抜くだけでも凄いのに、遠く離れたものを匂いを嗅ぎ分ける番犬がごとく、その場所を見つけ出すとは、一体どんな能力なんだと大いに興味を持った。 アーネットはこの伯爵のおかげで、王室の保護を受け、この帝都の有力者の家で育てられることになった。
/1705ページ

最初のコメントを投稿しよう!