距離

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悩み事のせいであんなにふくよかだったマルオが痩せてしまったのかと思うとそれもなんだか面白くない。あのプニプニと触り心地のいいマルオの手までスッキリしてしまった。 いや、それよりも何よりも、生来の顔立ちの可愛らしさが露わになったことで周りが騒ぐのが気に入らないのだ。掌を返したように急にチヤホヤする奴らが気に入らない。全くどいつもこいつも人の表面しか見ないのかと怒り心頭だ。 多分だけど俺が一番丸岡のことをわかっているんだと、根拠のない自信を持っている世理だった。なのに、そんなに悩む事を相談してもらえない自分が不甲斐ない。俺には何でも話してくれると思っていたのに、自分で思うほどには信用されていなかったのだろうか。 だが、今この瞬間もマルオが自分を見る眼差しには熱いものを感じる。 ……ような気がするが、自惚れだろうか? とにかく今日は逃がさない。 絶対聞き出してやる。 そう心に決める世理だった。
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