幼馴染みの恋愛事情。count.1

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 するりと、後ろから伸ばされた雪の腕に、駿はあっという間に抱き締められた。  雪の言わんとしている事は、駿には分かっている。それなのに、わざわざこんな事をしてくるのだから手に負えない。 「こういう事、したいって意味で好きだろって言ってんの」  耳のすぐ横から聞こえる雪の声。今にも唇が触れそうなその距離に、駿は先に釘を刺した。 「キス。してもいいけど、後で殴るよ?」 「なにそれ。してもいいって、マジで言ってんの?」 「殴られたいなら、ね」  覆いかぶさるように抱きついている雪を、駿は横目でちらりと見上げた。その目が、挑発的な色を帯びる。 「それとも、雪は本気で俺にこういう事、したい訳かな?」  すぐ間近にある、雪の頬に駿は自分から口付ける。ちゅっと小さく音をたてたそれに、雪はパッと両手を上げた。 「お前、性格悪すぎ」 「どっちが」 「あ。間違えたわ」  ホールドアップしたはずの、雪の腕の中に、駿は再び捉えられていた。 「性悪、…かな?」 「は? ……ぅん…っ」  駿の声は、途中で雪の唇に飲み込まれた。見開いた目に、楽しそうに目を眇める雪の顔が映り込む。 「っぅ…ん…っ」  雪の口付けは、雪の性格に似て強引で…。透明な糸を引きながら唇を離されれば、駿の頬が赤く染まった。 「っ…っは、雪っ、冗談は…」     
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