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「人のプライベートなんてのは、他人が見たらみんなどこかおかしいもんさ。
誰が何と言おうと俺は。
疲れきって帰った夜に、テーブルいっぱいの料理を並べて、ベランダに胸焼けしそうな生クリームてんこ盛りのデカイケーキを隠してたり…」
あ、バレてるや。
思った瞬間、トーコはクルリと彼の側に身体を回転させられた。
「玄関を電飾で飾りたてて、チカチカの中をコスプレで出迎えてくれるトーコちゃんに___
たまらなく癒されてる」
長い手が、ふわりとトーコを包み込んだ。
「毎日、ありがとうトーコ」
「あ…ぅ」
ああ、ダメだ。
今夜はやけに涙腺がユルんでしょうがない。
トーコはぐっと涙を堪えると、遠慮がちに彼の腰に手を回した。
アキトは、その小さな背中をそれは優しく撫でている。
遠くの教会から、イブを告げる鐘の音が聞こえいる。
その最後の響きが消えるまで、長いこと二人はそうしていた__
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