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「お前、いろいろ飛ばしすぎだろ」
「…?」
「いきなり指輪って、お前…」
ふふ、と笑った本郷の顔が、今まで見たことないほど優しく、美しくて、一瞬で心拍数が跳ね上がった。
本郷お前、これは、こんな表情は、片岡にだって向けてなかっただろ?
「…お前、ずっと俺が他のやつを好きだと思ってたろ」
「そ、れは…」
「俺は、ずいぶん前からお前しか見てない」
「…ッ」
本郷はずるい。
真っ直ぐに見つめられて、カッと頬に血が上った。
なぁ、これは、自惚れていいんだよな?
「なぁ橘。お前も、毎日俺のこと見てんだろ?」
口元をニヤリと吊り上げ、不敵に笑うその顔には見覚えがあった。ああ、挑発されているのだとわかったけれど、そんな挑発に乗れるほどの余裕は今の俺にはなかった。
「…好きだ、本郷」
「……おう」
「結婚してくれ」
「…バーカ。まずは、『お付き合いしてください』…だろ?」
そう言って笑う本郷の顔は、今まで見てきた中で1番幸せそうな笑顔だった。
綺麗な花束はないけれど、シンプルに輝く永遠の誓いを君に捧ぐ。
〈花束よりも永遠の誓いを〉
END.
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