セフレの存在-1

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「ふーん……。ペットボトルのお茶で充分なのにね」 市川さんは首を小さく振りながら笑って箸を動かした。 独り言のようで、返答に困る。それに、明らかにお茶を出したことが気に入らないようだった。 「知ってる? あなたの人件費は高いのよ。倉上ほどでなくても」 「……」 コスト意識が高いのはいいことだと思う。 仕事をする上でとても重要だ。あなたの時間は雑用ではなく、もっと有効に使うためにあると言ってくれているのだと思う。 でも、最後の一言は余計だろう。 それに、私だってやみくもに雑用をしている訳ではない。 心の中で溜息をつきながら、お皿に散らばるキャベツを集める。 早く逃げないと、これで三時のコーヒーまで出すことがばれたらどうなるのだろう?  しかも、和泉くんまで借り出して。
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