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冬乃は溜息をついた。
それなら決まった恋人がいると適当な嘘を言ってしまえば済むのかもしれない。
それができない理由は、
悲しいかな、捨てきれない恋心がゆえ。
(沖田様の耳に、どう噂が届こうが、どうせ沖田様はなんとも思わないのに・・・ばかじゃないの私)
それでも冬乃が、誰かと恋仲だと、沖田にだけは誤解されたくない。
そんな想いが冬乃を留め続けて。
(情けないなあ・・)
叶うことなどありえない、この恋に、どんな必要があってそんな心配が要るというのやら。
「はぁ」
冬乃は何度目になるかわからない溜息をついて。漸く抜け出した隊士の輪から、次の掃除場所へと急いだ。
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