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早く掃除に戻りたい想いを抑えつつ、冬乃は皆を見渡す。
「仕事が休みの日も予定が詰まっていますので、・・すみません」
好きな人がいるからその人としか呑みにいきません、と誰彼にも断り続けるには、このところ効率が悪すぎた。
初めの頃はいちいちそんな返しをしていたが、これだと「それ誰」「隊内なの」と十中八九返され会話が終わらないのである。
屯所が移ってから。あちこち広すぎて掃除の時間が倍増しただけでなく、隊士部屋での滞在時間も格段に増えたぶん、隊士達と接する時間も比例して増えて。
壬生に居た頃は遠巻きに様子見していた彼らが、冬乃と近くで顔を合わせる頻度が増えるにしたがい、こうして話しかけてくるようになっていた。
それも隊士の数自体、増えているせいで。冬乃が断っても断っても、毎回、屯所のどこかで、誰かしら新たな別の人に声かけされる事態で。
(どうなってんの・・・)
まさか、隊士全員に断り終わる日が来るまでこれが続くわけはあるまいに。
これでは仕事が進まない。どころじゃなく。
屯所に未婚で男無しの女がうろうろしていれば、あるいは仕方ないのだろうけども。
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