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ギルドカードは、それ程厳しい審査がある訳でも無いのに、持っていると身分を保証してくれる便利なものである。
ただし1年に1度は依頼を達成しないと、カードは失効してしまう
「あら、お久しぶり。今年は随分ギリギリじゃない?」
ギルド黒猫のマスターは妖艶に微笑んだ。ストレートロングの黒髪に紫色の瞳、胸元の開いた黒いシャツに黒いタイトミニを身に付けた姿は、黒猫そのもの。並の男なら目のやり場に困るだろう。
「先月1度来たんだが、急用で隣国のジャニュアールに飛んだんでな」
マスターの魅力に惑わされる事無く、イーゴはシレッと返した。
「フフ、急用って、どうせ新作スイーツか何かなんでしょ?」
マスターにはお見通しだった様だ。
「何かお薦めの依頼はあるか?」
イーゴは1年に1度、カードの更新のために依頼を受けに来る、困ったギルドメンバーだ。ただ、こうしてマスタールームに顔を出し、緊急の依頼を嫌な顔ひとつしないで受けてくれる、頼りになるメンバーでもある。
「これを受けてくれると助かるわ」
そう言って、マスターは探し人の依頼書をイーゴに差し出した。
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