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私は夢を見ているようなそんなふわふわした気分だった。
「アチャ、でも、まだ、私、26歳だよ…」
朝日は困った顔をして微笑む。
「後10分で聖夜が誰かにさらわれない限り、12時で僕のものになる…」
私の心臓は壊れたみたいに激しく高鳴っている。
両親の真珠婚のためにこのホテルのレストランを予約したのも、一人でバーに行ったのも、朝日が仕事でこのホテルを使うことも、全てがこの瞬間に繋がっていたんだ。
スマホの時計が12時を表示した。
私の中の色々な想いが大粒の涙となって溢れてくる。
「聖夜、外を見てみて、ほら、雪が降ってきた。
聖夜が僕の事を少しでも好きでいてくれるのなら、もう12時になったから、今日からつき合おう。
それで、来年のこの日に、このホテルで結婚しようか…」
クリスマスが誕生日なんて、ずっと損をしてると思ってた。
でも、神様は、こんなに素敵なクリスマスと誕生日のプレゼントを一気に運んできてくれた。
「アチャ、私も、アチャの事がずっと好きだったの…」
私のこのしつこかった朝日への想いを、今やっと本人に伝える事ができる。
「よかった…
でも、僕は知ってたよ…
聖夜、27歳のお誕生日おめでとう、そして、僕達はイブじゃなくて、クリスマスを記念日にしよう。
だって、大切な聖夜の誕生日の日だから…」
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