六条くんの盲執

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「きゃ!」 ああまた君が誰かに弾かれてる。 それにしても本当に物凄い人の出だな。 裏目黒にある不自由が丘は女子向けの雑貨屋が目白押しで、普段から閑散とすることはまずないけれどもやっぱり年始は違う。 これ幸いと肩を抱いて、君を守りつつ朝シャンのフローラルな髪の香りを肺の奥まで吸い込み、……うおおおおおおあ! 無人だったら絶対襲ってる。 「六条くんは大丈夫?」 「えっなに!?」 「ヒッ、い、いや目が、なんか凄い血走ってるから疲れてるのかなって……」 君の方こそこんなに青ざめて。貧血なのに女の子の日が近いと大変だよね。 「大丈夫大丈夫! ちょっと今朝五十匹くらいのカラスにつっつかれただけだから」 「ああ、そ……大丈夫なの!?」 「着いたね! はい、蛍光ちゃんの分」 「えっあっ、ありがっ……」
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