THE DARK

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「いらっしゃーい。お疲れさま」 「ああ。お疲れ」 「どうだった?」  清一は興味津々という顔をして、いつものカクテルを目の前に差し出す。もうこのカクテルの隠し味の秘密も分かった。極上のカクテルを舐めるように飲む。 「無断欠勤が続いてるって状態だね。今のところ警察が動いた気配は無い」 「事件性がないもんね~」 「……だが、俺に今日、安田さんをどうした? と尋ねてきた人間がいたよ」  俺の言葉に清一の目が光った。  「へぇ。お友達だ。ラッキー。向こうから正体を現したんだね。誰だったの?」 「……同僚だったよ。人間って分からないものだな。まっとうな仕事をしているのに、どうして欲を出してもっと欲しがるんだろう」 「ふふ。その欲があるからこそ、成功を目指すんでしょ? だから、成功している人間が妬まれる。実くんは妬みの対象だった。ってことだよ。珍しい話じゃない」 「はぁ……。やれやれ。嫉妬されてるのは感じてたよ? でもまさか……だな」 「で、その同僚はどうしたの?」 「ん? 食事してきたよ」  そう告げると、清一は目を大きく見開き、腹を抱えて爆笑した。 「あはははは! はぁ~。嬉しいなぁ」 「なにがだよ? そう美味くもなかったぜ?」 「実くんは昔も快楽主義者だった。その魂は変わってないね。どんどん昔の性格が表へ出てきてる。嬉しいよ」 「ふん。外ではストイックなお堅い弁護士として、法の秩序を守ってるんだ。滅多なことは言わないでくれ」  そう言いながらネクタイを解くと、清一がカウンターを飛ぶように飛び越えた。いや、実際に身軽に飛んだ。俺の首筋に鼻を寄せ、ヒクヒクと匂い嗅ぐ仕草。それだけで濡れてくる。 「セクシーでゾクゾクするよ。あなたは最高だ」 「吸っていいぞ。腹がいっぱいだ」 「ふふふ。言ってる事はちっともセクシーじゃないけどね」 完 ここまで読んでくださりありがとうございます。楽しんでいただけましたら光栄です。「THE DARK」清一編をつけた書籍を、来る2021年7月10日のイベントSUPER COMIC CITY GYU!!2021 で販売する予定です。こちらで連載しておりました「hyde and seek」も3巻完結セットで販売しています。分厚いです! 読者様とお会いできる滅多にない機会ですので、とても楽しみにしております! 詳細は、たろまろツイッターにて随時発信しております。どうぞよろしくお願いいたします!
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