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「え?」
ファーグスからのまさかの提案に、NPCからそんな進言を受けるとは思っておらず思わず聞き返してしまう。
そういえば、魚を捕る方法を聞いてきたり釣りの心得を聞いてきたり、あまりにも会話が自然過ぎる。
いや、NPCに似つかわしくないあまりにも自然な会話はクエストの時からだったが、あの時は明確なシナリオがあったし、運営がパターンを豊富に用意したと考えればまあわからなくもないのだが、今は完全に俺達の思いつきで動いた結果たまたまここに来たに過ぎない。まさか運営がこんな状況を想定して設計するとは思えないのだが、本当に彼女は人工知能なのだろうか。
全体的に箱庭の人工知能は知能が高いとは思っていたが、これまで出会った者達はあくまで用意されたシナリオの中で振舞っていた。
完全にシナリオを無視した動きをしているAIを見るのは彼女が初めてかもしれない。
「いや、正直それはすごい助かるけど……そんなことできるの?」
「ええ、永い時間を過ごしてきましたから、様々なことで退屈を紛らわせたものです。
それに、ただの釣りでは魚竜に引きずり込まれて自身が餌になってしまうでしょうし」
「お、おう……」
どうやらファーグスのおかげで命拾いしていたらしい。
ともあれ、彼女に任せて万事うまくいくというならば頼らない手はない。今日は釣りをしにきたのではなくあくまで魚を獲りにきたのだから。
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