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「瀬野くんて、彼女はいないの?」
おっ!麗、瀬野くんに興味持った!?
「い、いません…か、彼女なんて、ぼ、僕には一生縁のない言葉ですから。」
もう!ここでアピールしなきゃダメじゃない!
気になってる人はいるんです、とかさー!
「えー?どうして?だって、瀬野くんイケメンだし、お料理もできるんでしょ?作ろうと思えばすぐ彼女できそうなのに。」
「そうなの、そうなのよ!瀬野くんイケメンだし、優しいし、料理できるし、家事だって何でもできちゃうのよ!?しかも、強いし!空手ずっとしてたんだって!」
もう、ここは私が代わりにアピールするしかないわね。
「家事も?それに空手?なによ、完璧じゃない。」
「……俺もまあまあ料理できるし、家事もひと通りできるけど?ほら、一人暮らし歴長いし。」
ちょっと、今あんたのアピールはいらないのよ、田所。
「あー、田所前からそう言ってるけどさ、本当なの?今度俺の手料理食べさせてやる!とか飲む度に言ってるけど、未だに食べさせてもらったことないよね。」
ああ…麗の視線が田所へ移ってしまった…。
「ホントだって。最近、スパイス自分で調合してカレー作ったりしてるんだぜ?うちに来たらいつでも食わせてやるって言ってんのに来ねーんじゃん。」
「だってあんたんち、今九州じゃん!遠いし!」
「じゃ、じゃあ…お前んち作りに行ってやろうか?何なら今日泊まってもいいけど?」
ちょっと、何で田所が麗のとこに泊まるのよ!
瀬野くんがショック受けちゃうじゃないの!
「せっ、瀬野くんなんて、ケーキも作れちゃうんだから!しかも、体に優しくて美味しいやつ!」
「え?ケーキ?しかも体に優しくて美味しい…?」
再び、麗の意識がこちらへ向いた。よし!女子はカレーよりスイーツよ!
「………て言うか、吏華、詳しいのね。瀬野くんにケーキ作ってもらったの?」
はっ!!しまった…!!
「え?や、この前ね、茉子さん…瀬野くんのお姉さんが言ってたの。毎年お姉さん達の誕生日に瀬野くんが手作りのケーキ作ってくれるって。」
「へー!そんな話してましたっけ?茉子さん…」
首を傾げる彩菜ちゃんに
「ほ、ほら!見送りに行った時にね、聞いたの!」
動揺を隠して笑顔でそう答えると、ああ!そうなんですね!と、すんなり信じてくれた。
「瀬野くんの彼女になる人は、絶対幸せだと思うよー!」
麗に向けて念押しのアピールをすると、瀬野くんに視線を移した麗は、数秒瀬野くんをじっと見つめ、
「……そうね。」
と、ニコリ…というかニヤリ?と意味深な笑顔を浮かべた。
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