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ヘンデス王国物語 第4545話「紅に染まる」
「エルガの周りにいる邪魔な者たちはあなたのお好きにどうぞ。伯爵。」
「ひひひ。そりゃありがたい。しかしエルガはどうされるおつもりで?」
月明りの逆光が消える。金色の髪が風に吹かれ、薫りを運ぶ。
「もちろん。エルガは私の手で殺めるのです。」
「それは最高のシナリオだ、フローラ様…!」
妖美な笑みが、そこに立っていた。
「なんて事だ…。フローラ姫が、敵と通じ合って…!」
その密会を物陰で見ていたのはガルディアだった。フローラはか弱い姫のはずだった。親無し子だった自分にも笑みを向けてくれる心優しい女性だったはずだった。あんな密会を目の当たりにしたガルディアですら、どういう事なのか理解することができない。ひとまずガルディアはエルガに報告するために踵を返す。
「ひひっ。立ち聞きとはいけない趣味をお持ちだなぁ?ガルディア。」
「…!サリテリー伯爵…!」
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