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いつもの教室
いつものクラスメイト
ガヤガヤと煩いBGMに
落書きだらけの机
それらは何も変わらない
変わったのは
あたしだ。
学校では"西村紗和"で大丈夫だと響が言ってた。
あたしが"松下紗和"だと知っているのは一部の関係者と、相変わらず堂々と隣の野島君の席に座って、話を聞いてくれる親友の平川繭子だけ。
「で、結局引っ越したの?」
『昨日ね…』
パーティーの三日後、響のマンションに引っ越した。
荷物は服と細々とした小物とかで、そんなに多くないから引っ越し自体はあっさり終わった。
問題は、別にある。
「何か…あったの?」
聞いてくれる?と顔だけ繭子に向ける。
『あたしてっきり別々の部屋だと思ってて…』
以前泊まった時、マンションには響しか住んでない事は知ってた。
だから、まさか。
『響と一緒の部屋だとは思わなかったの!』
あたしは叫んで机に突っ伏した。誰が描いたのかわからないヘタクソな落書きにすら腹立つ。
クラスメイトはもうさすがに慣れたのか、雑談を続けている。
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