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「一緒!?って同居?あれ、同棲だっけ?」
『知らないって!もう最悪だったんだから!』
どっちにしろ嫌すぎると、眉間に皺を寄せながら嫌々昨日の記憶を引っ張り出した。
意外な事に、車を出してくれたのは響だった。
ごく普通の住宅街にある家の前に止まった車の周りとの浮き具合が凄すぎて、逆にこっちが浮いてんじゃないのかと思った程。
そんな事を全く気にしない響は、お母さん達に挨拶をして荷物を車に載せてくれた。
何か親切すぎて気持ち悪い。怒られそうだから言わなかったけど。
マンションに着いて、あたしは肝心な事を聞いてなかったと思い出す。
『ねぇ、あたしの部屋って何階?出来れば一階とかがいいんだけど。エレベーター乗らなくてすむし』
少ない荷物を降ろしながら響を見ると、見慣れたバカじゃねぇの?という顔をしていた。
『な、何』
「お前、新婚が別々に暮らしてどうすんだよ、怪しいだろ」
『え、じゃあたし何処に……、』
嫌な答えが頭の中を駆け巡る。
まさか、と顔を引きつらせるあたしに、響が視線で上を差しながら言った。
「俺の部屋」
───最悪だ。
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