炬燵輪舞

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 志信は場所によってはスーツを着る事も多いので、スーツに合うイタリアブランドの皮靴にした。仕事から帰るとテーブルの上の靴の代わりに小さな包みが置かれていた。  今年の志信からのプレゼントは香水で、柑橘系の爽やかな香りに白檀の仄甘い香りが後から追い掛けて来る。  それがオーダー出来る世界に一つしかない香水だと知ったのは、ついこの間の話だ。 「プレゼント受け取ってたし、別に怒ってるわけじゃないと思ってたんだけどな……」  志信は仕事柄クリスマスは忙しく、滅多に一緒にいられた試しはない。  夜は一緒にいられなかったけれど、翌日が休みだった花栄は帰って来てダブルベッドに潜り込んで来た志信を久しぶりに抱いた。 「エッチもさしてくれたし……」  花栄が年末の休みに入ってからは、割と一緒にいられる時間もあったのかも知れないけれど、日頃から家事を担ってくれている志信は大掃除に忙しそうで、あまり相手にしては貰えなかった。  手伝おうと思うけど、勝手が分からずに座ってろと言われる始末。  手を荒さない為の水色のゴム手袋が余りにも似合わなくて、笑ったら不貞腐れて舌打ちされた。 「えー……それで別れるとか、無いよなぁ……」  まだ驚きのあまり信憑性のない別れ話に、花栄は真剣に首を捻る。  兎に角帰って来たらもう一度話をしようと思ったのに、志信は翌朝帰ってこなかった。  翌日が休みだったのに、早くから起きて志信の帰りを待っていた花栄はこれはまた探し回らねばならないパターンか、とワシワシ後頭部を掻く。    そう思ったとたんにスマホが鳴った。  
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