大名として…

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家康は作左の顔を睨み付けるとその茶碗をとり酒をあおる。 「ふ~…のう?作左よ…信康は何故あれほど思考が出来ぬのだ?」 「考える必要に迫られないからでござろう?何しろ苦労を知らぬ若殿様だから!あっはっはっはっ!」 そう言うと家康の手から茶碗を取り上げ酒をついで自らがあおる! 「おぬし位じゃ…はっきりとわしに物を申すのは…」 作左の茶碗を取り上げ茶碗を作左に突き出す家康 「あの女狐と織田の人質に挟まれていては、性根も腐ると言う物じゃ!皆殿が悪い!」 そう言いながら、家康の持つ茶碗に酒を注ぐ作左 「わしの正室に向かって…よくも!申したなっ!それに五徳は信康の妻じゃ!たわけめっ!」 「正室ならば、殿の側に引き取るが良かろう!いつまでも母親が側に居ては子は乳離れをせん!」 家康が飲んだ茶碗を引ったくるように取ると酒を満たしあおる作左 「…全てはわしの失態か…」 「今更、悔いた所で栓なき事にござろう!考えるなら先の事を考えなされっ!」 そう言って飲んだ茶碗に酒を注ぎ家康に突き出す作左 「先の事を…のぉ…」 作左の差し出す茶碗を受け取り一気にあおる家康の顔は酒のせいか…少し苦い顔をしていたのであった。
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