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王子様
美しい隣の国の王子様。
ずーっと憧れていたのよ。
国同士が決めた結婚だったけど、それでもいいの。
だって、ずっと憧れていたあの王子様と一緒になれるんだから。
精一杯のおめかしをして、一番キレイな私を見て欲しくて、ステキなドレスも新調したのよ。
ヘアスタイルだって、流行りの形に結い上げて、宝石を編み込んで。
だって第一印象って、大事でしょ?
お城に着いて、広間に通されたわ。
一番優雅に見えるお辞儀をして、王子様がやって来るのをドキドキしながら待ってたの。
ああ、早く来て下さらないかしら。
私の憧れの王子様。
貴方のために、やって来たのよ。
広間におふれの声が響いて、王様と王妃様と王子様が入って来た。
さあ、いよいよだわ。
大好きな、大好きな、王子様。
どうぞ、私をご覧になって。
名前を呼ばれてゆっくりと、笑顔で頭をあげた。
やっと愛しい王子様にお目にかかれるのね。
一段高くなった台座の上に、威厳のある王様。
美しい王妃様。
そして、優しい微笑みを浮かべる王子様。
でも──王子様の隣にいる、その女は誰?
淡い水色のドレスを着た、長い金髪の女。
どうして、私の王子様の側にいるの?
自分でも、どうやって、何を話したのか覚えてないわ。
笑顔が引きつって、足が震えたけど、そんなの気が付かれてたまるもんですか。
私は一国の王女なのよ。
王子様に姉姫や妹姫がいるなんて、聞いてないわ。
誰? 誰なの?
どうして王子様は、あんなに優しい目で女を見るの?
女はどうして、あんなに熱っぽい目で王子様を見るの?
一通りの挨拶を終えて、私は用意された部屋へ通された。
腹が立つ。イライラする。
一体、あの女は何者なの?
廊下を歩きながら、私は侍女逹にあの女の事を調べるように命じた。
王子様は、私のものよ。
誰にも渡さないわ。
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