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「なんで学校来ないの?」
優衣が怒った声で裕也に聞いた。どう見ても具合が悪いようには見えない。絶対学校をさぼったのだ。これからもずっとこの家に、いや、こいつにプリントを届けるなんて……勘弁してほしい。
すると優衣の前で裕也が答えた。
「弟が病気だから」
意味がわからない。どうして弟が病気だと、学校を休まなければならないのか?
「お母さんうちにいないの?」
「いない」
「弟が病気なのに?」
「そうだよ」
「あたしが病気になったら、お母さんお仕事休んでずっと一緒にいてくれるよ?」
優衣の言葉に裕也がふっと笑った。まるで優衣のことを馬鹿にしているかのように。
「な、なんで笑うの?」
「べつに」
その時部屋の奥から小さい男の子が顔を出した。
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