第14話「いしにえの竜のお話」

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で、ルーちゃんが金網破りをしようとした時、私は結界がある事を告げた。設置された金網を破壊するのは物理的証拠が残ってしまう。しかし結界なら、透過魔術を使えば“すり抜ける”事が可能だ。 透過魔術とは結界や魔導防壁をすり抜ける為の魔術で、結界破りとは違い元の結界を維持したまま通行する事が出来る。源素魔術の系統に分類され私たち回路魔術師には使えない魔術なのだが、そこはそれ理論だけなら完璧なのが、私である。 ……うん、まあ悲しいけど。 何故そんなものを知っていたのかと言うと、実は以前ジューネベルク城に新型の魔導防壁が導入された際、永土の守手(もりて)の魔術師たちが 「暗殺者も工作員も完全シャットアウト!」 と声高に売り込んだのを見て、折角なので我が家にも導入しようかと父が興味を持った事に端を発する。 仕組みというか、原理が凄く気になった私はその防壁のサンプルを父のコネで手に入れ、分解してみた事があるのだ。 お陰様で、結界のすり抜けについてはそこそこ学習出来た。ただ理論として理解するのと実践するのとはまた別物なので、そこは何故だか魔術に詳しいルーちゃんにお願いしてみた所、物の見事に成功した。
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