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「悠一、お前もうけっこう重いんだから月菜が大変だろ?」
遅れて駆け寄ってきた坂本先輩は、呆れた口調で悠一くんに言うものの、悠一くんはギュッと私にしがみついた。
「やだ! お兄ちゃんばっかり月菜ちゃんに会ってズルイよ! だから今日は僕が月菜ちゃんを独占するからね」
「独占って……お前なぁ」
微笑ましい光景に口元が緩んでしまった。
坂本先輩と付き合い始めて一ヵ月半。
実はそれなりに色々あった。
付き合い始めて次の日、坂本先輩はチームの打ち合わせ会議でなんの前触れもなく、突然カミングアウトしたのだ。
『須藤と俺、付き合っているから』って。
それはもう瞬く間に会社中に知れ渡ってしまった。
けれど坂本先輩は会社で今までとは打って変わり、周囲も呆気にとられるほど私に優しくなったというか、甘くなった。
常にそばにいて、通勤退社も昼休みも一緒。
あまりの代わりように周囲は驚きすぎて、茶化す余裕もなく。
今では『坂本くんの愛、重すぎて辛くない?』と心配されるほどだ。
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