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悠一くんに手を引かれるがまま、三人で遊園地を楽しんでいると時間はあっという間に過ぎていき、はしゃぎ過ぎたのか悠一くんは坂本先輩におんぶされ、ぐっすり寝ちゃっている。
「っとにこいつは、昨夜遅くまで寝ないから……」
どうやら悠一くんは今日が楽しみで、昨夜はなかなか寝付けなかったようだ。
背中でスヤスヤと気持ち良さそうに眠る悠一くんに呆れているけれど、悠一くんを見つめる瞳は優しい。
坂本先輩の悠一くんに対する気持ちが、ヒシヒシと伝わってくるよ。
「悪かったな、今日は。月菜も疲れただろう?」
「いいえ、全然です。私も楽しかったんで」
付き合い始めてから彼は私のことを“月菜”と呼ぶようになった。
一ヵ月半経つけれど、今でもちょっと呼ばれるたびに胸の奥がくすぐったい。
肩を並べ遊園地の出口へと向かっていく。
「いつも悠一と一緒でごめんな。……どうしてもひとりにさせることしたくなくて」
申し訳なさそうに顔をしかめながら謝ってきた彼に、慌てて首を振った。
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