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「こ、恋敵……」
クセニアに言及され、グーゼルは頬を赤らめる。自覚していることとはいえ、他人にそれを指摘されると、恥じらいのあまり身体が熱くなってしまうのだ。
自分は、あの戦士を愛してしまったのだと。
「グーゼル。生まれ変わった公国の君主として、命じます。彼を探す旅に出なさい」
「ク、クセニア姫っ!?」
「公国のことなら、心配いりません。今は亡き父に代わり、私が見守って行きます。あなたはあなたのやり方で、ご自分の気持ちに向き合いなさい。彼をこの場に引き摺り出して婚姻を結ぶまで、私も『戦い』が終わったとは思いません」
「こ、婚姻って……! クセニア姫、彼が三十年前に消息を絶った帝国勇者だったのなら、どう若く見積もっても今は四十代半ばですよ!? しかも部下から聞いた話によると結婚歴があり、姫より歳上の子供もいるとか……! 姫の相手としては、些か年が離れすぎているかと……」
「たかが二十歳程度の差など、気にすることはありません。彼に恋慕している女性兵達も、同じでしょう。それに高名な武人が後妻を娶ることなど、珍しい話ではありませんわ」
「そ、それは……」
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