雪と、

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雪と、

僕のちいきには、雪がふらない。 別にあついところじゃない。さむいところでもない。 かぜはとってもつよいけど、“ひかくてき、すごしやすいところだよ”ってお母さんがいってた。 すごくさむい日にてれびをつけても、ほかのところは真っ白なのに、僕のちいきだけ青くて、仲間はずれにされてるみたいだ。 この白いのは、雪がふるよ、ってこと。 お母さんがしゃしんを見せて、おしえてくれた。 そのしゃしんは、僕のしらない、真っ白な世界だった。 くさの緑でも、つちの茶色でもない、白。 雲がひとつもない空。太陽をさえぎるものはなにもなくて、白い“雪”はキラキラと輝いている。 しゃしんのはじっこには、足あとと、白いまるを二つかさねて顔をかいたのがうつっていた。 なんだか、幸せそうな顔をしている気がする。 “雪”をまるめてつくる、“雪だるま”なんだって。 しゃしんの中は、僕のしってるところとはちがいすぎて、別世界のようにかんじた。 とても綺麗な世界…… 目のまえで見てみたい。さわってみたい。“雪だるま”とかつくってみたい。 冷たいってお母さんがいってたけど、それも気になる。 僕は見たことないけど、10年ぐらいまえにはここにも“雪”が降ったことがあるみたい。 早く降らないかな、雪。
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