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「待てって、せっかく来たんだ飯ぐらい食っていけよ」
「え……あ、いいのか?」
「一人作るのも二人作るのも変わらない」
「じゃ……遠慮なく」
俺のぎこちない態度に知幸が怪訝な顔をした。俺は咳払いをして普段言わない「お邪魔します」と言って部屋に入った。
知幸は至って普通じゃないか……俺だけが気にしてるのか? すました顔しやがってなんか腹立つ!
「あれ? どうしたの? おまえらしくないこの散らかり具合……」
知幸は掃除、洗濯が趣味みたいなやつなのに、こたつの上に数本の空き缶と抜いた服がそのままだった。
「……あ、ちょっと忙しくてな。適当に座ってろ」
どんなに仕事が忙しくても、いつも綺麗に片付いているのに珍しいな……
知幸は手早く片付け、キッチンで晩飯の準備をし始めた。俺は言われた通りこたつに座りスイッチを入れた。
ん? あれって女物だよな……
コートと一緒に掛けられたマフラーを見た。
なっなんだあいつ付き合ってる女性がいるんじゃないか! そういうの昔から言わないやつだったし別にいいんだが……
なんだろう……胸の辺りがもやもやする……
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